-ヨーロッパの手仕事- Glem Tid(グレムティッド)のブログ

<紡ぎ・編み物・レース編み>を中心に、長野のゆったりとした自然の中で1点ものの品物の制作を行なっています。 ※今秋、Webショップをオープン予定

毛糸に使用する羊毛はどこから来るのか?

羊毛の原毛

-ヨーロッパの手仕事-Glem Tid(グレムティッド)です。

毛糸を紡いで制作する際に使用している羊の毛ですが、海外から輸入されてくるものが主になります。

現在、羊毛を採取するために羊が飼育されている国は、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドです。

意外なところでロシアや中国といった国土が広い地域でも産毛地として多くの羊が飼われており、アフリカやトルコなどの中近東、南米でも上述の地域よりは規模が小さいですが、羊毛が産出されています。

紡ぎやフェルト用に輸入されてくる羊の原毛は、イギリス・オーストラリア・ニュージーランド産のものがほとんどですが、アパレル服やファブリック製品など工場での加工用に使われる羊毛は中国産なども入ってくるようです。

紡ぎで主に使用している羊毛は、イギリス・ニュージーランド・オーストラリア産

紡ぎで主に使用している羊毛は、イギリス・ニュージーランド・オーストラリア産

また、アイスランドのアイスランディックウールやイギリスのシェットランド島のシェットランドウールなど、昔からその地で生息してきた品種をメインに輸出している国・地域もあります。

羊の品種により、育てるのに適した気候があるため、地域により生息している羊に違いがある場合があります。例えば、雨や湿気、乾燥にも強く、広い地域にわたって育つことができるコリデールという品種は、ニュージーランド・オーストラリア東海岸であったり、湿気に弱いメリノは同じオーストラリアでも中部全域の乾燥地帯や南アフリカで多く飼育されています。

こういった日本から遠く離れた国で育った羊の毛は、刈り取られ、運搬され、汚れを落とし、紡ぎやすい状態に整われ、様々な人の手を介して、わたしの手元までやってきます。

羊は紀元前7000年ごろに家畜化されているのが確認されており、その後、世界各地に散らばっていったり、1頭の羊から取れる羊毛の量を増やすために品種改良を重ねてさまざまな品種が生まれていったり、その歴史をたどるのは奥が深く、おもしろいです。

また今後、作品で使用する羊毛の特徴や生息地など、個別に紹介していってみたいと思います。

【参考文献】

 「羊の本」編著:本出ますみ 2018年

「統計地図 原材料 羊毛の生産トップ10と日本の輸入先」帝国書院 

「羊の手帖」著者:本出ますみ 1988年