糸を紡いで作ってみようと思ったのは、まさかのスマホゲームからの気付きでした
こんばんは、-ヨーロッパの手仕事-GlemTid(グレムティッド)です。
(写真は以前に紡いだ、白いシェットランドウールの毛糸)
今日はとてもいい天気で、太陽があたる南の部屋は、なかなかの暑さでしたが、窓を開けるとさぁーっと涼しい風が入ってきて、過ごしやすい陽気でした。
糸を作ろうと思った最初の始まりは、趣味で編み物をしていて、必要な分量の毛糸を用意するのが難しいと感じていたときでした。
まだ学生の頃、ネットショッピングも今ほど主流でなかったとき、毛糸が足りなくなった際に手芸屋さんへ足を運んでも、同じ毛糸が売り切れだったり、以前購入したのと違うお店だと販売されていなかったりで、不便に感じることが多かったのです。
また、逆に買いすぎて、必要以上に毛糸が余って、お金がもったいなかった、という思いをすることも多々ありました。
(ゲージを正確に計算できれば、毛糸の量も上手く調整できていたかと思うのですが、当時は全くの独学の趣味で、そこまでの技術がありませんでした…)
それだったら、自分で糸が作れるようになれば、必要な分だけ用意することができるので、ストレスを感じなくなるんじゃないか? と、なんとなく思い始めるようになっていました。
そう思ってはみても、自ら紡いで作るという発想には至らず、毛糸を手芸屋さんで買って用意するという変わらない状況の中で、編み物を趣味として続けていました。
そして、社会人になり働き始めてから何年か経ったある日、スウェーデン産の毛糸に出会います。
その糸は、羊の毛そのものの質感を感じ取れたり、少し脂分を含んでしっとりとした感じなど、”自然”を感じさせる風合いがあり、いかにも”機械で生産しました”という毛糸にばかり触れていた自身にとっては、けっこうな衝撃を受けました。
色のレパートリーもたくさんあり、色々なカラーを購入して、編み物を楽しんでいました。
そして手仕事とはだいぶかけ離れた話になってしまいますが…
その頃、編み物と同時にスマホアプリのゲームで自分の村を作るというような、よくある育成ゲームにはまっていました。
庭で野菜を育てたり、育てた小麦からパンをつくったり…
そんな中で、自分で羊を育てて、羊から刈り取った羊毛を紡いで、服をつくるという工程がありました。
その作業をゲームの中で行なっていた時、あの羊の毛の感触そのものを感じるスウェーデン産の毛糸と同じものを、自分で紡いで作れば、できるんじゃないか?
そういえば昔、毛糸を必要な分、購入するのが難しいと思っていたけれど、紡いで作れるようになればそれも解消されるんじゃないだろうか?
何か”ピン”と繋がるものがありました。
そして、ハンドスピンドルという価格も手頃な紡ぐための道具を買って、糸をつくってみたり。
ハンドスピンドルでは、編み物をするのに必要な量をつくるには、時間がかかるため、値段が張るので悩みましたが、大量に紡げる本格的な糸車を購入して練習をしたり。
自分で糸をつくるなんて、できる訳ない、と思っており、
むしろ、スマホアプリの中のゲームの世界でしかできない話と思っていました。
でも、昔は食べ物を育てて、生活に必要なものを作って、そういったことが当たり前だったことを思うと”できない訳がない”という事に思い当たったのです。
手作業で糸を紡いだり、編み物やレース、刺繍、織などの技法を使って、時間をかけて丁寧に作ったものを大切に使う。
紡ぎとの出会いは、そんな手仕事の楽しさに気づくと同時に、昔は当たり前に出来ていたことが、今では出来ないもの、として決めつけていた自分の感覚にも気付くきっかけとなりました。
手間がかかるからと、機械で大量生産を行なって、その結果、食べ物や洋服、その他いろいろな商品が売れ残ったり使い捨てされ、ゴミとなり、環境破壊につながり…
一度気づくと、手間はかかるけど、丁寧にものを作って大事に使うこと、自分が暮らしている環境に負荷をかけない生き方、そうした発想に自然と行きつくようになりました。
お店を通して、そんな事を考えている人もいることを伝えていけたら、と思います。
文中で紹介したスウェーデン産の毛糸<ウルセントラム>の商品は、下記の国内のお店で購入ができます。
海外の直営サイトは下記になります。