-ヨーロッパの手仕事- Glem Tid(グレムティッド)のブログ

<紡ぎ・編み物・レース編み>を中心に、長野のゆったりとした自然の中で1点ものの品物の制作を行なっています。 ※今秋、Webショップをオープン予定

朝の連続テレビ小説「マッサン」で使われているガンジーセーター&アランカーディガン(ガンジー模様&アラン模様について)

f:id:glemtid:20180610221843j:plain-ヨーロッパの手仕事-Glem Tid(グレムティッド)です。

我が家の地域は霧が頻繁に発生するのですが、今日も雨が一日中ふっていたため、周辺には霧が立ち込めていました。

霧といえば、最近BSで朝の連続テレビ小説「マッサン」が再放送されており、マッサンが日本での生産を目指しているウィスキーづくりに適している条件に、霧が多く発生する土地が必要だ、という話をしているのを思い出しました。

リアルタイムで放送されている時は、時間的にほとんど見ていませんでしたが、面白そうだなと思っていたので再放送の方は毎日録画して見ています。

見ていて気になっていたのは、マッサンとスコットランド人の奥さんエリーがいつも着ているニットセーターと襟つきのカーディガン。

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 マッサンが着ているベージュのセーターは、主に表編みと裏編みで柄を出す伝統模様が入ったガンジーセーターというものです。

エリーが着ている方は、ニットの編地を交差させたりして模様を浮き立たせるアラン模様です。

どちらも、イギリス近辺の島の漁師の作業着から生まれた模様といわれており、過酷な海での仕事をする上で、体を暖めたり、作業しやすいセーターを作っていく過程で生まれたデザインです。

特にガンジー模様は、暗い海の上でも着やすいように、裏でも表でも着ることができるという面白い特徴があります。

マッサンの撮影でも何回か、誰も気付かずにセーターを裏返しで着ていて、そのままそのシーンが放送されてしまったという事があったらしいのですが、それも仕方ないことだなぁと思ったりします。

他にも、ガンジー模様やアラン模様が入ったセーターには、こんな特徴があったりします。

・胸の部分に編み込み模様が多い → 編み地に厚みを出し、より寒さから体を守る

・脇の下にマチがある → 腕肩を動かしやすくする

・裏編みで模様が施されている(ガンジーのみ) → 作業中に引っ掛かりなどによる事故を防ぐため

・袖部分には模様を入れない → 作業中に破れたり、ほつれることが多いので、直しやすくするために、複雑な編み方はしない

・袖にサイドスリットがある → 腕を動きやすくするため

・立ち襟 → 寒さから首を守るため

こうして見ると、今ではオシャレとして身につけられている服であっても、1つ1つのデザインにもよりよく生活するための意味が備わっていたんだということを、感じさせられます。

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また、一番上のTOP画像は、以前制作したmichiyoさんデザインのアランセーターです。

一面に散りばめられている模様には1つ1つ名前があったり、各家庭によって家紋のようにアランセーターに使用する模様が異なっていたなど色々な逸話があります。

アラン模様についてはまた別に機会を作ってまとめてみたいです。

 マッサンの方でも、今後いろいろなセーター類を着てドラマに登場してくるようなので、そちらも楽しみにしています。